小学生の方が体験で稽古に参加しました。
とても感覚が良く、驚きました。
通常大人の初心者だと、体捌きを教え、それができてから技に入ります。
そうでないと体捌きと上半身の動きがバラバラになってしまい、技とならないからです。
しかし、その小学生は体捌きが簡単にできたので、その後技を教えたら、それなりに形になっていました。
おそらく合気道というものが、本来の人間の動きに適っているからではないかと思いました。
大人が、そのように動けないのは、小学校から学校体育で特定の動きを身につけたり、(これは我々昭和世代が特にそうなんですけれど)やたら無駄な緊張を強いるような動作を強制されてきたため、変な癖がついているからではないでしょうか。
例えば、朝礼で「気をつけ」「礼」「前え倣い」といったかけ声とともに、体をまっすぐにして、両手を前に出し、体をおったりする動作です。
このとき体がキチンと固まっていないと(緊張していないと)先生から注意されました。
おそらく戦前の軍隊教育のなごりだと思います。
しかし、このような動作では、体が常に固まってしまい、合理的に動けません。 特に<合気道>のように相手に合わせる動きが必要とされる武術には不向きです。
これに対して、現在一般に行われている<剣道>や<空手>などは、瞬間的に体の一部を緊張させ、一気に相手を攻撃するという動きになっていますが、それなりの対応になっているのではないでしょうか。
逆にいうと、小学校からの体を緊張させる癖がついているから、剣道も空手もあのような一本調子の動きしか出来ないのではないかと思ってしまいました。
攻撃してくる相手が一本調子ならそれでいいのですが、どのような動きをするのか分からない場合では、通常の一本調子の動きでは対応出来ません。
動く前提に<意志>というものがありますが、体を緊張させていると自分の意志通りにはなかなか動けず、結局慣れ親しんだパターン化した動きしか出来なくなってしまいます。
現在、剣道や空手は学生まではやっていてもそれ以降はあまりやらなくなっています。
結局「若いから出来る」というスポーツになってしまったのではないでしょうか。
<合気道>の稽古はまず、体の緊張をとるところから始まります。
そして体捌き、技と入りますが、肩の力を抜いて、相手に合わせて動きます。
この点、社交ダンスに似ています。
最近<システマ>というロシアの武術が日本に導入され、YOU TUBEによくアップされています。
これはロシアの特殊部隊員だったミハイル・リャブコという人が始めたもので、約十数年前に日本に入ってきたものですが、力を抜いて柔らかく動くことを要求しています。
やっているのは大人ばかりですが、やはり脱力をすることをなによりも重視しています。
実際体を固めて緊張した状態では、どのように相手が攻撃してくるかがわからないので護身術としては機能しないのではなかったのでしょう。
小学生の体験を通して少なからず考えさせられました。
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