護身術としての合気道

最近 暴力や刃物で襲われる人が多い。それにつれて護身術を教える動画がYOU TUBEに出て来るようになった。

しかしその中には頭をひねるものが多い。


相手がかかって来ようとしたとき、同時に相手を制圧しようと向かっていき、殴ったり蹴ったりし、そのあと相手から逃げたり、取り押さえたりしている。

全体の流れを見ていると、襲われたのだから反撃した・・・ということになっている。

しかし相手が襲ってくるのは大抵自分ひとりだけのときだろう。

大通りの群集の中で襲ってくる者は普通はいないはずだ。(秋葉原のような事件は特例)

それに対して反撃できたとして、果たしてそれが護身術となるかだ。

もし相手がけがをした場合、相手が「自分から襲った」と認めなければ、襲われたはずの人間が加害者、すなわち「傷害罪」に問われてしまいかねない。

実際インターネットで検索するとそのようなケースが見受けられる。

そして本来の被害者だったはずの人間が偶々相手より強かったため加害者になり、損害賠償さえ取られているケースがある。

これは現実に暴行や傷害が発生した場合の立証が難しいために起こってしまうのだ。


実際、襲われたので反撃して相手をけがさせた場合、

警察はまず「けがしたのは誰か」次に「そのけがを生じさせたのは誰か」という形で被害者と加害者を特定する。

もし襲った人間がたまたま弱くて逆に制圧されるときに怪我をしたときに「私から襲いました」といわなければ、襲ったほうが傷害という自体を起こしたとして捕まってしまうのだ。

誰かが見ていて証明してくれない限り、けがをしたのは誰か・・・という生じた事実から考え始めるからだ。


では、反撃してけがさせた場合はすべて傷害罪になるのかというと、そうではない。

罪に問われないためには、刑法上の正当防衛の要件を満たさなければならない。

刑法36条では正当防衛が成立するためには「急迫不正の侵害に対して、自己または第三者の権利を防衛するためにやむを得ずした行為は罰せられない」としている。

ただ、具体的にはもしこの要件に合致していても「やむを得ずした行為」が「手段として相当」でなければならないとされている。

即ち襲ってきた相手が素手だったのに対してナイフで向かう事は「手段としての相当性」が欠けるので正当防衛とならないとされる。

一応条文上、正当防衛となった場合は罪に問われないとされるからそのときは相手を怪我させても護身術となるといえる。

しかし、それは現実には立証の問題でなかなか難しい。


私自身、襲われたときに身を守る手段として相手を殴る・蹴るという行為では護身術と成ることは殆どないと思う。

YOU TUBE上の動画を見ていてこんな事を教えるのは問題有りだと思った。


ではどうすればいいか。

ここで合気道が出てくる。

即ち、相手の攻撃に対して力で対応しないということだ。

相手が向かってきたとき、それを<いなし>たり、<さばい>たりして避けて、相手を取押さえるのがベターだと思うが、制圧するのは実際上はなかな難しいと思う。

相手を倒して逃げるというのが一番有効だと思う。


で実際にどのように<いなし>、<さばく>かだ。

それはいつも稽古をするときに説明しているとおりです。







あおぞら合気道(調布)AOZORA AIKIDO (in Chofu)

2011年創設の調布市の合気道の道場。様々な年代の男女が楽しく稽古をしています。 稽古日時:毎週木曜日の19時~20時30分、土曜日13時~15時あるいは15時~17時。施設の都合で変わります。         師範(instructor):合気会6段(aikikai 6-dan) 連絡先(contact address):aozora.aiki@gmail.com

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