合気道といわれる通り、「合気」の「道」なのだが、では「合気」とは何か、何故「合気」というのかが漠然としていてとらえどころがない。
普通「武道」と名がつく「剣道」「空手」「柔道」やその他の格闘技では相手と向かい合うと必ず正面からぶつかっていく。
そして大抵の場合、相手に先に手が届いたり、叩いたり、投げたり、蹴ったりする方が「勝つ」というルールになっている。
しかし合気道はぶつからないのが原則だ。といってもぶつかっている合気道をしている方も多いが。少なくとも私が習った合気道はそうではなかった。
そして合気道の体捌きは背中から後ろに反転する。下手をすると相手に背中を見せかねない。「闘う」場では致命的とも思える・・・通常は。
私も合気道をはじめたとき、「なんだ、これは」と驚いた。
しかし稽古をしているうちに、その体捌きがとても大切なものだと気づいた。
相手がかかってきた時、相手と同じリズムで後ろに反転する事は相手との間合いを維持でき、相手の力をそらすことが出来る。しかしその反転が大きければただ逃げているだけだが、その反転が小さいと相手の懐に入っていき、「相手に不利で自分に有利な間合い」になれるのだ。
難しいのは相手と同じリズムで反転が出来るかだ。
そこで必要なのが「合気」なのだ。
相手と「気」を「合わせる」事が出来ると相手と同じリズムで動けるのだが、それが少しでも合わないと、相手とぶつかったり相手の動きが止まったりする。
「気」を「合わせる」為にはどうすれば良いのか・・・相手の気持ちになることが一番だと思う。相手を無視して掛かっていては「気」をあわせることは出来ない。
わかりやすい例をあげるなら、社交ダンスをするような気持ちが必要だと思う。映画「shall we dance」で有名になったあのダンスである。
社交ダンスではペアを組んでいる相手と気を合わせないと、相手を引っ張ったり、引っ張られたりしてしまう。そこで相手の気持ちを「忖度」することが必要になる。それにより気持ちよく踊れるのだ。・・・若かった頃少しだけやったが全くダメだった。大学にはいったばかりの頃だったので女性と体をくっつけるとあがってしまい体が動かなかった。正確にいうと興奮してしまっていた。今でも同じだが、若い頃のようにはあがらないと思う。
私が道場で相手と同じ動きをするように言うのは、とりあえず形から「合気」していって欲しいからだ。そして「気持ち」も「合気」していけば間合いが上手く取れるようになると思っている。
開祖は「合気道」は「愛」の武道だと言われているが、この面からも肯けると思う。相手と闘おうとして「気」をぶつけるのではなく「気」を合わせるのだから。
開祖の本当の思いはもっと遠くにあるのかもしれないが・・・。
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