合気道の動きについて（とても重要なこと）

合気道は他の武道と異なるところが多い。

現在良く見られる剣道、柔道、空手といった武道は勝ち負けを決めるスポーツで、合気道は相手と闘わない踊りのような運動だ・・・と一般的には思われている・・・と思う。

表面的に見るとそうだが、根本的なところで大きな違いがある。

それは合気道は体全部を同時に動かし、他の武道の多くは部分的にしか動かしていない。

武道というものは大抵すり足で動く。それは合気道も同じ。

しかし、例えば、空手。相手に素早く近づき、それから殴ったり蹴ったりする。足を動かし近づきながら手を動かすという運動はしていない。近づくという動作が止まりその後に殴る、蹴るという動作になり、その間にスキが出来相手に逃げられてしまう。一部の達人といわれる方は同時に動かしている。ＹＯＵ　ＴＵＢＥで見られる沖縄の本部御殿手という変った名の一種の空手の上原清吉師範は動きながら相手を制している。

剣道ではやはり近づくのに足を使いそれから上半身の筋肉を使って相手を叩いている。即ち近づいて＋叩く・・・という２種類の動作をしている。相手に飛び込んで叩くというのも、飛び込むという段階で足の動きは終わっているから同じ。問題は、近づいて、それから腕を上げるという瞬間にスキが出来るということだ。剣道で足を動かしながら同時に叩くという動きをしている映像はせいぜい「突き」のときだけではないか。それ以外は殆ど見られないが、剣術や居合いの世界ではＹＯＵ　ＴＵＢＥで黒田鉄山という人の素晴らしい動きが見られる。

柔道では相手の懐に入ってから腰をいれたり、体を捻ったりして相手を倒す。やはり足で自分の有利なポジションについてから腰や上半身を動かしている。

ひとつひとつの動作を区切っている。上半身と下半身の動きがバラバラになっている。

それを上手く融合させて相手を倒しているのがＹＯＵ　ＴＵＢＥで見られる三船久蔵という名人。

合気道では開祖、塩田先生、藤平先生の素晴らしい動きが見られるが、わからない人はヤラセとか受けが協力しているとしか思わないだろう。しかし、私が習っていた今から２０年前の本部道場の先生方は皆当たり前のようにそのような動きをしていた。

これらの名人と一般の武道家の違いを映像で見つけるならば、体が緊張しているか・・・という点で見られる。

即ち、スポーツ系武道は多くの場合、相手の近くまで近づいてそれから上半身を動かして相手を倒そうとするので、足が居ついおり道着が引っ張られているような映像になっている。

残念ながら最近の合気道でもこれらのスポーツ系武道と同じようになっているため、動かずに足を踏ん張って相手をなげたり、手首を捻ったりしている。

それでどこが悪いのか・・・というと相手との力比べにしかならず、結局体が大きくて反射神経の早い人間が有利ということになる。「小」よく「大」を制すということにはならない。

・・・それは武「術」ではなく「体力」というもので、何の為の「伝統」であり「武術」なのだろうか・・・と思う。

★今回はかなり本質的な事を書きました。

できれば上記にあげた名人と他の方との動きを良く見比べてください。せっかくＹＯＵ　ＴＵＢＥにＵＰしてくれた映像があるのですから。