2月の稽古－突き

中段突きの稽古

空手の中段突きを受ける稽古ですが、空手の受けとは異なります。

「突き」というと相手を「殴る」という攻撃的なイメージがありますが、合気道では「相手を受け入れる」という事を学ぶ手段だと思った方がいいと思います。

一応二つのやり方を書いてみます。

①突きを受け流し側面に入る方法

　やり方としては、例えば右腕て突いてきたタイミングでその右手を流してその外側に入る

　このとき空手の様に、自分の腕で相手の腕を弾くと、相手の態勢は崩れないので、すぐ2発目が飛んでくる。

　弾くのではなく、相手の拳が前方に突き出されるのをそのまま行かせてあげる。

　実はこれが難しい。

　相手が突いてくる腕にすこしでも横方向の力が入ると、相手はそのぶつかってくる力を察知して動きを止めて、違う攻撃を始める。

　例えば、そこで右手を止め、左手で突いてきたり、あるいは蹴りを入れてきたりする。

即ち相手が崩れていない態勢で次の攻撃が可能なのだ。

それに対し、相手の伸びつつある右腕に同じ速度で接触し、その行く方向を止めずに、そのまま更に前方に行くように誘導する。（導くと言う表現が良いかもしれない）

すると当てるつもりが当てようとした目標がなくなり、態勢が崩れる。

例えば、木を割ろうとして思いっきり殴ったら、それは木ではなく同じ色をした布だったら、おそらく同じようにバランスを失い、下手をしたら転ぶだろう。

そのように相手の手に接触し、方向を変えずに、（相手の意思に逆らわずに）流すと、相手は崩れてしまう。

②突きを自分の身体で受け入れる。

突いてきた拳に自分の手のひらを当てる。

このときも相手の手のひらとぶつけるのではなく、包み込むように接触する。

そして相手の押してくる力に合わせて引く（というか吸収するという表現が適切かもしれない）。

合気道の開祖の言葉で「5，5の十」「6，4の十」「3，7の十」というのが有りましたが、常に相手の力に自分の力を合わせて「十」になるようにコントロールすると言うことを言っているのではないかと私は思っている。これを指して相手の力と「調和」するという表現を用いているように思う。

実はこれが難しい。

やっているうちに出来るようになると思うが、かなり時間がかかる。

どこが難しいかというと、相手と同じ速度で自分の腕や身体を動かすことだ。

イメージとしては「相手の力を身体全体で受け入れる」

そんな意識でやるとそのうち出来るようになるのではないだろうか。

少なくとも、相手の力に対立すると言う意識ではない。

＜突き＞の話をしましたが、これは合気道全体の話でもあります。

相手の腕の動きを目で見てから、それに対応するのではなく、相手の身体全体、そして相手の身体全体からでてくる雰囲気（気？）を察知して動くのが重要だと思います。

このとき、＜相手＞と＜自分＞と別物と考えずに、＜相手と自分＞は一つであり、「相手は自分の延長線上にあり」、「自分も相手の延長線上にいる」という意識を持つことが重要だと思います。

もっというと「相手と自分は繋がっている」という意識です。

イメージとしては分からないと思いますが、やっているとどこかで分かるような時が来ます。

そうするとぶつからない合気道になると思います。

私自身いつから出来るようになったか覚えていないが、開祖の本や私が師事した開祖の直弟子の先生方の話がヒントになったのだと思う。