前回、技が上手くいかないときでも体全体でやることが必要と書きましたが、これは合気道に限りません。
私は学生時代にはじめてスキーをやりました。
その頃のスキー板は身長+10cmの長さが標準でした。
今は短いショートスキーですが、そのような長い板でしかも木製でしたので操作するのは大変でした。
スキー場の斜面を曲がろうとして、足を動かしてもスキー板は曲がりません。無理に足を動かすとバランスを崩して倒れました。
そのとき教わったのが体全体を動かしなさいということです。
スキーで曲がるためには重心移動が必要で、そのためにはスキー板が斜面と接する足の裏側の操作をしなければなりません。
昔は「エッジを立てる」という表現をしました。
斜面には山側と谷側があり、谷側に曲がろうとするときは最初に足の底面の山側にスキー板のエッジを立て、そこに重心をかけ、それから谷にむかって下りて行く・・・という操作をします。(このとき体は常に谷側を向いていることがが必要です)
スキー靴は動かないようにスキー板に固定されているので、このとき膝から下は殆ど動きません。そのような状況でどうして重心を移動させるのかというと、腰の操作です。
しかし腰をいきなり左右に振っても、体がぶれて倒れるだけで、重心は移動しません。
体全体を動かしながら体の重さを足底に伝えなければなりません。上半身を緊張させてしまうとロボットのようになってしまい、その段階で腰を振ると倒れるだけです。
意識して上半身を緊張させずに、体全体を連動させる為に腰を動かす練習が必要となります。そして腰の動きによる体重移動につられ、徐々に足の裏が連動するようになりました。
私も下手な段階ではおもいっきり体を動かしていましたが、上手くなるに従い少し腰を動かすだけで重心移動ができるようになり、スキー板のコントロールも上手くなりました。
上手な人は外から見ると殆ど体を動かしていないように見えますが、体の内部ではしっかり動いていると思います。
これは合気道でも同じです。
相手と力がぶつかって動かないときは、手だけではなく、腕や肩、そして体全体を使って、どうすれば相手のバランスを崩すのに有効かを体験することが必要です。
その段階で常に意識して欲しいのが、物質的に相手とのバランスをとるということだけでなく、「気」がどこに向かっているか、相手の力の方向性です。
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