なぜ合気道をするのかというと、
ひとつは体に良いから・・・というのなら他のスポーツでもいいはずだ。
ラジオ体操なら1メートル四方で出来るし、ジョギングなら家の周囲を走れば良い。
相手を投げたいのなら柔道、殴りたいのならボクシング、蹴飛ばしたいのなら空手がある。
それぞれに楽しいところもあるが足りないところもある。
合気道とそれらの差は何度もいっているがスポーツかそうでないかというところにある。
その差は筋肉に頼らないという点だ。
私はよくダンスにたとえる。
どこが似ているかというと、動くとき相手を引っ張ったり、押したりといった筋肉を使った強引な動作がなく、相手の気持ちを忖度して動く。
そして円の動きが多い。
上手な人は腰の上下動がなく、滑るように動く。
上半身はまっすぐに立て、肩に力を入れない。
映画の「Shall we dance」や海外のドラマや映画で男女が手を取り合って楽しむダンスを思い浮かべればわかると思う。
最初はステップを覚えるのに大変だが、それを体が覚えると、次は相手と呼吸を合わせ二人で楽しく踊ることができるようになる。
相手と気持ちを合わせて踊るのはとても楽しいそうだ。
私の合気道仲間でダンスをやっている者もかなりいる。
奥さんと一緒にダンスの大会に出て賞をもらったとかうれしそうに話しているが、本音を言うといまさら奥さんと・・・?という気持ちが出てくるのだが、そんなゲスの勘ぐりと違うところに楽しさがあるのだろう。
合気道では体の動かし方を学ぶために一教~四教、入り身なげ、小手返し・・・といった技がある。これにより腰が出来(武道的言い回しだが)、そして足先から手の先まで気を通すことが出来るようになる。
そして相手と気を合わせる。
ダンスは水平方向だけの動きだが、合気道は縦も横もあり転がることもある。
そして武道だから相手を倒すために、相手の動きを察知し、相手がバランスを崩すようにしなければならない。
それは相手がどのように動こうとしているのかを理解することが必要だ。
その手段が<気>なのだ。
<気>とは何か・・・という説明は難しい。
外国でも合気道をやっている人には<気>という日本語で説明しているようだ。
それを敢えてわかりやすく説明するなら、心と体を繋ぐもの・・・といったところだろうか。
人を殺そうとする気配を「殺気」といい、心の弱っている人の態度を「弱気」といい、思い切った行動をとるとき「勇気」といい、体の調子が良い時「元気」という。
合気道はその「気」を中心に相手を動かす。
しかもその「気」は相手を圧倒する為のものでなく、相手と調和するためのもの。
相手が押してくればさがり、下がれば押す。
そして倒れるように相手の気を導く。
そのとき相手の気と一緒に自分の気も動いているのではないかと思う。
これはイメージだが、寒さでかじかんだ手を温めると血液が流れて気持ちがよくなるように体の中を気がめぐる。
だから合気道の稽古は楽しいのではないかと考えている。
・・・でもそれを文章で説明するのは、やはり難しい。
0コメント