目黒区都立大学の駅近くの商店街で刃物を振り回しいている男が捕まった。
映像を見ると、警察官が刃物を持っている犯人の腕にしがみついていて、女の警察官が警棒でへっぴり腰で叩いているというより突っついている状態。
そこにあとから出てきたヤマト運輸の方が頭をボコボコ殴り、三人がもつれるように倒れた。そしてうまい具合に刃物を落としたので取り押さえられた。
実際こんな現場に遭遇したらどうするか。
剣道経験者なら竹刀で相手の刃物を持っている腕を的確に叩いて刃物を落とせるかもしれないが、警棒でしかも片手で同じように行えるかはわからない。
まさか両手で竹刀のようにもって対応することはないと思う。
柔道経験者なら組みついて投げるだろうが、刃物を持っている相手に組み付くのは危険。刺されにいくようなものだ。
空手経験者でパワーのある人なら蹴りで倒せるかもしれないが、相手が向かってきたときは危険だ。
問題は普通に稽古や試合をしているときなら効く技も、相手が興奮してアドレナリンが出ている状態では効かないケースがほとんどだと思う。
まして相手が大きい場合はなおさらだ。
差別用語になるらしいが、まさに「キチガイに刃物」というのは大変だ。
現在普及している武道はスポーツ化しており、ポイントを取ることが主眼となっている。
剣道ならば、小手、面、胴にうまく当てること。しかし実際は指一本斬られたら戦闘能力は落ちてしまう。膝から下を打ってもポイントにはならないが、江戸時代には膝から下を狙う柳剛流という一派がいたくらいで新撰組がとても危険視していたといわれている。
柔道に至っては、「柔よく剛を制す」というのがモットーで小さい者が大きい者を簡単に倒すというのが本来の技術だが、今は力の強いものでないと勝てなくなり、それ故かつてはなかった体重による階級わけをしている。
空手も相手に当てることを主眼としているため、自分の態勢を崩しても飛び込んでポイントをとるようになってしまっている。しかし相手をノックダウンさせると反則負けになるのでわざと避けずに当たって反則勝ちを取る情けない者もいる。まるでサッカーのネイマールのように。
これらはそれぞれのジャンルで一定の時間内で決められた技で決められた方法でポイントを取るためにスポーツとして進化した結果なのであろうが、私から見れば既存の筋肉運動を特定の方向にパターン化したようにしか見えない。
では、合気道はどうか。
残念ながら同じようにスポーツ化しつつある。
腕をもたれたら力ずくで引っ張って崩したりするシーンが多い。たいていは受身の人が痛くて倒れてくれるので技らしきものが成立しているように見える。
私から見ると仏を作って魂を入れずにしか見えない。
私が習った先生はたいてい、空手や柔道や柔術、剣道や剣術の経験者だった。
彼らが何故、それらの武道でなく当時出来たての合気道の専門家になったのかというと、開祖というとてつもない実力者がいたからだろうけれど、それ以前に自分の習っていたスポーツ化した武道に物足りなさを感じていたのではないかと思う。
それではそのようなスポーツ化した武道でないものとは、どんなものか。
私の考えているのは開祖レベルか、そこまでいかなくても養神館合気道の塩田師範や心身統一合気道の藤平師範をイメージしている。
彼らはみんな小柄だが、どんな相手でも簡単に倒している。
そうなるためには<体捌き>と<合気>の取得だと思っている。
言葉で伝えるのは難しいので稽古をしながら説明している。
では、目黒の刃物男に出会ったときどうするか・・・。
正面から来たときに距離があるときは逃げるのがベスト。
目の前に来たときは、体捌きで正面から側面に入り当身を打つか、相手の勢いを利用して倒す。正確に言うと、投げるのではなく「コンクリートに叩きつけてしまう」ことになる。
普段稽古している投げ技は受身を取れるようにワンクッション置いているが、こういう場合は遠慮すべきではない。
・・・こういったやり方は養神館合気道の塩田師範の映像を見ればわかると思う。
警官と犯人がもつれあっているようなシチュエーションのときは、ヤマト運輸の人のように背後から叩くのがいいと思う。
ヤマト運輸の人は頭を叩いているが、頭というのは固く、またある程度以上本気で殴るのを躊躇われる部位だと思う。
戦争でもやっているのなら首を絞めたり、捻ったり、目を狙ったり、アキレス腱を踏んずけたりするだろうけれど、・・・現実的には正当防衛に見なされないと思う。
アメリカならすぐに射殺するだろう。
我々に出来ることは、おそらく首の後ろ、延髄を殴るのが良いのではないか。
多分脳震盪のような状態になると思う。私自身殴られたことはないが、入り身投げを受け損なって頭を打ったとき脳震盪を起こし立てなくなったことがあるが、そんなものだろうと思う。
また後ろから思いっきり男性の急所を蹴飛ばすというのもありだと思う。ボクシングなどで過って急所を打ってしまい相手が悶絶していることが良くある。
正当防衛の範囲を超えずに相手を抑えるというのは実際はかなり難しい。
現実に危険な目にあったことのない政治家や役人には実感というものがなく、本で得た知識だけで判断して法律を作っているのだからおかしなことになっている。
実際、そのような場合に遭遇したら、正当防衛を成り立たせながら、自分の身を護らなければならないのは情けないことだと思う。
0コメント