1.合気道の技について
合気道ではいくつかのパターン化された型の稽古をします。
それは同じ武道でありながら、剣道、空手、柔道よりも複雑です。
では何のためにそれほどたくさんの<型稽古>があるのでしょうか。
私が感じているところでは、それは合気道が<受け>から入っているからだと思います。
剣道、空手、柔道はいずれも試合があり、その試合で<一本>を取るための技の攻防があり、そこで勝つための稽古をします。
従って、まず<攻撃>ありきなのです。
これに対して合気道は攻撃技がありません。
相手の攻撃を躱して、相手を抑えるという形になります。
それが、一教、二教、・・・入り身投げ、小手返し・・・といった技です。
2.技を掛けるタイミングについて
しかし、そもそも相手を倒すために攻撃を仕掛けるという事は、自分がバランスを崩すきっかけになり、またスキだらけになってしまいかねません。
例えば、右腕の横面打ちで相手に殴りかかるとき、攻撃者はその右手に全神経を傾けています。
そしてそのときの重心はその右手・右足側にあります。
防御する側は、自分の重心は崩れていませんので、攻撃者の右手を避ければ良いだけです。
攻撃者の右手が相手にあたらず外れると、攻撃者はバランスを崩してしまいますので、体の他の部分は全くスキだらけになってしまい、そんな相手を抑えることはそれほど難しくありません。
そこでバランスを崩すために、どのように相手の攻撃を外すかが重要になります。
実はそれが簡単なようでなかなか難しいところですが、それが出来ないで、四方投げ、小手返し・・・といった技だけを一生懸命稽古するのは本末転倒のような気がします。
相手の攻撃を察知してもあまりに早く動くと、相手も攻撃を仕切り直しします。
無論自分が動かないと簡単に攻撃されます。
相手が間違いなく当たると思って攻撃を仕掛けてきた時、既に相手が攻撃に入った段階(即ち、相手がそこで踏みとどまれないようなバランスを失った状態)で、相手の攻撃を躱すことが出来れば、攻撃対象が想定外のところにいることになり相手はバランスを失います。
例えば、目の前の木を木刀で叩こうとしてモーションに入っていたが、当たる直前にその木がなくなってしまえば、攻撃者は目標を失い空振りをしてしまいバランスを崩します。
では、どうすれば体術でそれが出来るかという事ですが、・・・相手の攻撃線上にいながら、当たる直前にそこから外れ、相手を攻撃できるポジションに移るという事です。
具体的には攻撃者と同じリズム、同じ感覚で動いていながら、攻撃者にその動きを察知されないように動かなければなりません。
現実的には自分と攻撃者が対になって動く<社交ダンス>のような関係性を持ちつつ、意識は両者を全体として捉え、自分がその関係性から外に出られるようにしなければなりません。
そうすると、相手からすると想定外の動きを取れることになり、相手のスキを突くことができます。
文章にするととても難しくなりますので、この表現であっているかは自信がありません。
むしろ実際に稽古をしながら説明する方がわかりやすいかと思います。
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